【完】『空を翔べないカナリアは』
美優は貴慶の方を向いた。
「これ、高かったんじゃない?」
「実は、萌々子ちゃんがいろいろアドバイスをくれてやね」
こういうときの貴慶は隠し立てをしない。
この率直な面も、今までの彼氏にはなかったことから、美優は好意を持っている。
「萌々子さんありがと」
「ほら、やっぱり美優ちゃんに似合ってる」
カットされたケーキが運ばれてきた。
「みんな食べよ」
スイーツを前にするとさらに賑々しい。
「ちょっと暑いから風に当たるわ」
そう言うと貴慶は外へ出た。