天神学園の奇妙な案件
龍一郎とすずは、教室の椅子に座る。

「龍一郎の知っている未来は、どんな未来なの?今の時代は、どういう変化が起きているの?」

「えーっと…」

一瞬言いよどむ龍一郎。

『全ては語らん方がいいだろうな。未来を知っている人間が増えるという事は、修正力の働く原因になりかねん』

禿鷲のアドバイスで、龍一郎は所々暈して説明する事にした。

本来ならばまだ邂逅しない者が早い時期に現れた事、結ばれない筈の者同士が結ばれかけた事、過去の歴史では現れなかった者が現れた事、起きなかった筈の戦いが起きようとしている事。

具体的に名前を挙げる事はなかったが、勘のいいすずならば、幾らかは誰の事を指しているのか分かったかもしれない。

「すまねぇ…あんまり話しちまうと、この時代に影響が出るかもしれねぇらしくて…」

スペシャルバカの龍一郎がここまで気を遣う辺り、本当に重大な事なのだろう。

すずも問い詰める事はしなかった。

< 127 / 470 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop