天神学園の奇妙な案件
容姿もいい、性格も愛らしい、男を惑わせる小悪魔的な魅力を持つ。

父にさえ溺愛されるルナにとって、面と向かって嫌いだと言い放たれるのは初めての事だった。

吸血鬼を倒す方法として、心臓に杭を突き立てるというものがある。

経験はないが、きっとこんな気分なのだろう。

それ程に、ルナは大きなショックを受けた。

「そうか…僕は君は違うと思ってたけど…吸血鬼は人を惑わし、かどわかし、謀るという…君も吸血鬼だったんだな」

驚くほど潔く、蛮はルナに背を向けた。

歩いて行く。

背中が、遠ざかっていく。

ああは言っても、彼は私の事が好きなのだ。

未練たっぷりに振り向き、私の事を見ようとする。

そう思い、半ば祈るようなルナの思惑など無視して、どんどん歩いて行く。

振り向くわ…。

もう振り向く。

振り向くに決まっている。

振り向きなさいよ…。

お願い、振り向いて!

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