天神学園の奇妙な案件
「出鼻だけ挫く!」

蛮が愛用の銀の十字架を投擲する!

真っ直ぐに飛翔する十字架は、バルトメロイのもとへ。

「飼い犬に手を噛まれるとはこの事か」

焦る事も慌てる事もなく、バルトメロイは棒立ちのままで十字架を受け止める。

正確には、彼の身に触れる前に十字架が砕けた。

魔力を通して対象の存在を高め、文字通りの効果を発揮する強化の魔術だ。

ナイフに使えば切れ味が良くなり、ガラスに使えば硬くなる。

バルトメロイは身体を強化して、強度と精度を持たせている。

只の銀の十字架など、風で舞ってきた木の葉に等しい。

だがその隙に。

「っらぁあぁぁぁぁあぁっ!」

「おおおおおおおお!」

龍一郎が、ティーダが間合いを詰める!

一味の斬り込み隊長の2人だ。

龍一郎は両手で放つ掌打、双掌打(そうしょうだ)を打ち込む!

これを防御すらせずに受けるバルトメロイ。

回避も防御も必要なしという事らしい。

ティーダは直撃の瞬間に。

「サラマンダー!」

火の精霊サラマンダーを召喚し、炎で追加効果を与えつつの斬撃!

しかし。

「これは珍しい魔術体系…精霊術だね?」

バルトメロイは、杖でユースティティアを受け止めていた。

この杖にも強化の魔術を施してあるようだ。

まるで鋼鉄のように硬い。

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