天神学園の奇妙な案件
これで龍一郎一味の面々が揃った。
賑やかな学園生活が始まる。
「ちょっと待った!」
「お?」
朝の静寂を破るように、龍一郎達を呼び止める声。
「……」
ルナが眉を顰める。
振り向くと、1人の少年が立っていた。
サラサラの黒髪、目は前髪に隠れている。
身に付けているのは紺色、胸に紋章のワッペンの付いたコート。
身長は龍一郎と同じくらいなので、そう大きい方ではないだろう。
「お前の旦那が来たぞ、ルナ」
からかうようにルナの背中をポンと叩くティーダ。
「…やめてよ」
ルナは批難するようにティーダを見た。
少年の名は真久部 蛮(まくべ ばん)。
超常の力を持つでもない、出自が特殊な訳でもない、ただ銀製の大きな十字架と平凡な退治の知識しか持たない、駆け出しのヴァンパイアハンターの少年。
真祖どころか、真祖に吸血されて吸血鬼に成り下がった者にさえ勝てるかどうかわからないような未熟者。
魔道協会の末席に当たるが、大した魔術は使えない。
その魔道協会からの指令なのか課題なのか、蛮はこの極東の島国にいる吸血鬼の名門ツェペリ一族の娘、ルナの討伐を命じられているのだが…。
(おかしいな)
密かに龍一郎は首を傾げる。
(こいつがルナを狙ってくるのは、俺の記憶じゃもっと後の筈だけど…)
賑やかな学園生活が始まる。
「ちょっと待った!」
「お?」
朝の静寂を破るように、龍一郎達を呼び止める声。
「……」
ルナが眉を顰める。
振り向くと、1人の少年が立っていた。
サラサラの黒髪、目は前髪に隠れている。
身に付けているのは紺色、胸に紋章のワッペンの付いたコート。
身長は龍一郎と同じくらいなので、そう大きい方ではないだろう。
「お前の旦那が来たぞ、ルナ」
からかうようにルナの背中をポンと叩くティーダ。
「…やめてよ」
ルナは批難するようにティーダを見た。
少年の名は真久部 蛮(まくべ ばん)。
超常の力を持つでもない、出自が特殊な訳でもない、ただ銀製の大きな十字架と平凡な退治の知識しか持たない、駆け出しのヴァンパイアハンターの少年。
真祖どころか、真祖に吸血されて吸血鬼に成り下がった者にさえ勝てるかどうかわからないような未熟者。
魔道協会の末席に当たるが、大した魔術は使えない。
その魔道協会からの指令なのか課題なのか、蛮はこの極東の島国にいる吸血鬼の名門ツェペリ一族の娘、ルナの討伐を命じられているのだが…。
(おかしいな)
密かに龍一郎は首を傾げる。
(こいつがルナを狙ってくるのは、俺の記憶じゃもっと後の筈だけど…)