天神学園の奇妙な案件
「仮に時間操作が可能としても」

バルトメロイは龍一郎を見た。

「今のこの時代の魔術師達の技術では、理論上に過ぎない。まだまだ長きに亘る研究研鑽があって初めて為せる神秘だ。魔術師としては完成形に位置する私ですら、時間操作は不可能…後は後進に任せるしかない。魔術師とて不死ではないのだからな」

時間操作が出来ない以上、バルトメロイは『死という概念を捻じ曲げた』といっても、せいぜい数百年生きられる程度でしかない。

ここから更に数百年生きたとしても、今が魔術師としての完成形である以上、今以上に魔術の技量は上がらない。

つまり、バルトメロイには時間操作は不可能という事だ。

「それにしても驚くべきは臥龍よな…時間操作で時代を逆行して尚、記憶を保ったままでいられるとは…臥龍の持つ対魔力とは、時間操作さえある程度は防げるという事か…」

もしかしたら禿鷲や禿鷲を身の内に封じた龍一郎以外にも、父親の臥龍や、禿鷲のきょうだいである鴉丸 龍鷺郎(からすま りゅうきろう)、その弟の鴉丸 斑鳩(からすま いかる)も、記憶はそのままでこの時代にいるのかもしれない。

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