天神学園の奇妙な案件
あらぬ誤解をされてしまった。

蒲公英が人目を気にしているので、人のいない場所に連れて来ただけなのだが。

ティーダが困った顔をしていると。

「嘘だよっ」

蒲公英は肉球の付いた狼の手で、ポンと叩いた。

「ティーダっちは、そういうのよりも剣のシュギョーの方に夢中だもんね」

「え、あ、まぁ…」

「知ってるよ?兄ちゃんと一緒に、放課後に稽古してる事もあるんでしょ?こないだのバルトメロイ?アイツとの戦いの後、兄ちゃんも急に稽古にやる気出したから」

確かにそうだ。

バルトメロイとの戦いは、一歩間違えれば敗北する所だった。

禿鷲の力を借りなくても、自分達の力だけで外敵を追い払えるよう、勇者としてもっと力を付けなければならない。

自分は、歴代最強の一味と呼ばれたシオン一味のリーダーの息子なのだ。

こんな所で妥協していてはいけない。

勿論、そういう思いもある。

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