天神学園の奇妙な案件
いつも強気な龍一郎が、すずの前でだけ見せる弱気。

この時代に来て、彼なりに歴史を変えまいと奔走してきた。

ようやくすずというこの時代の味方を得て、少し肩の荷が下りた。

しかし、事態は大きくなる一方だ。

彼でさえも、限界なのかもしれない。

「龍一郎」

すずは、彼を抱き締める。

龍一郎の頭を、その胸で掻き抱く。

「貴方は、あの丹下 龍太郎の生まれ変わりなの…あの人は、どんな大変な事態でも不思議と何とかしてしまう力を持っていたの…龍一郎にも、同じ事が出来る筈なの」

「皆、俺の事そうやって言うけど…無理だよすず先生…俺ぁ龍太郎じいちゃんの顔さえ知らねぇんだぜ?そんな人の生まれ変わりだからって言われても…あの人がそんなすげぇ事出来たからって、俺にも出来るとは…」

「できるの!」

すずは、更に強く龍一郎を抱き締める。

「何か特別な事をやろうと思わなくていいの。龍一郎は龍一郎の精一杯をやればいいの。そうすれば、自然と結果がついてくるの。丹下 龍太郎もそういう人だったの。あの人1人で駄目な時でも、必ず仲間の協力が得られたの。1人じゃない事が、あの人の強さだったの。龍一郎も、1人じゃないの…一味の皆が…私がいるの」

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