天神学園の奇妙な案件
「別に、すず先生に、俺が優勝できるように八百長してくれなんて言いやしねぇ。俺と当たった時は、全力で倒しに来てくれて構わねぇよ。でも、俺が勝つ」

龍一郎は、真剣な眼差しですずを見る。

「その上で、ルカに勝って優勝して、歴史改変を阻止する」

「…そして…この時代からいなくなるの…?」

目を伏せるすず。

「いなくならねぇよ」

龍一郎は、そっとすずの背中に手を回す。

「橘 龍一郎って奴は、ずっと居る。ずっと居て、すず先生と結婚すんだよ。結婚して、娘も生まれて、幸せに暮らした結果が、今の俺だ」

そう言って、親指で自身を指す龍一郎。

「すず先生が俺と結婚すれば、結果的に今の俺になるんだよ。いなくなったりしねえ」

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