天神学園の奇妙な案件
『戦いには向かないよ』

そう言われたような気がして、顔が熱くなる。

即座に床を蹴って間合いを詰め、振り下ろした爪は。

「無理しなくていいって」

ティーダのユースティティアに遮られた。

「無理なんかしてない」

ルナは言う。

「私はヴラド・ツェペリの娘。その気になれば、無情に敵を葬れる力を持っている」

「分かってるよ」

「本当に分かってるの?ティーダを殺す力だって持ってるのよ?」

「分かってるって」

「分かってない!」

もう片方の爪も振り上げ、無防備なティーダの頭に振り下ろして。

「っっっっっっ!」

何も持たない素手で爪を受け止めたティーダに、驚愕した。

爪が食い込み、ボタボタと血が滴り落ちる。

大好きな血液なのに。

ティーダの流血に躊躇した。

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