天神学園の奇妙な案件
「ヴラド学園長の娘だからな。ルナが弱い筈はない」

傷の痛みに顔を顰めながら、ティーダは言う。

「だから、ルナが弱いなんて思った事はない…ルナは、優しいんだ」

「……」

言葉はない。

ティーダは自身の腕に食い込んだルナの爪を、そっと離した。

「弱い事と優しい事は違う。弱い事は、逃げたり、戦わなかったり、踏ん張れなかったり、ここぞって時に頑張れない奴の事だ」

「……」

「ルナは違う。逃げない。戦える。本当に肝心な時には、学園長譲りの力で戦う。だけど、無闇にその力を振るったりしない」

握ったルナの手を、そっと離す。

「ルナは優しいから。無闇にその力で傷付けたりしないんだ」

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