天神学園の奇妙な案件
夕城邸の中庭に面した、板張りの長い廊下を歩くすず。

その途中。

「秋の日暮れは夕涼みでサタデーナイトフィーバー!」

左手で天を指し、右手は腰に、左膝は45度に曲げて。

昔ディスコでよく見られた、『サタデーナイトフィーバー』のポーズ。

『佐賀とよのか』とプリントされた段ボール箱を頭に被った、浴衣姿の変質者がそこに立っていた。

「パパ」

すずが呟く。

そう、初見の読者さんは引かないで。

この人が鈴木 すずの父親である、『災厄の箱』鈴木さんである。

人外である。

町内会の回覧板で注意喚起を促される類の人ではない。

彼は人格者なのだ。

すずや七星が天神学園の教師を目指したのも、彼が英語教師をしていたからなのだから。

いや本当だって。

< 74 / 470 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop