天神学園の奇妙な案件
だが、そんな龍太郎の生まれ変わりと言われる龍一郎でも、鈴木さんは彼に関してあまり口にする事はなかった。

それが今更、何故?

「話したけど、それがどうかしたの?」

「…昨日の龍一郎と今日の龍一郎、何か違った点は?」

「……?」

すずは小首を傾げる。

よくよく思い返せば、気になる点は幾つかある。

今朝に限って、突然龍一郎は、すずの事を呼び捨てで呼んだ。

いつもは『すず先生』と呼ぶのに。

蒲公英も、『龍一郎がすずと結婚し、ベルという娘が生まれると言っていた』と話していた。

そして何より…龍一郎とルナがキスをした…正確には、キスのふりをしただけだが。

酷く狼狽し、心乱された自分に驚いた。

まるで、あってはならない事が目の前で起きたような、大変な事が起きたような錯覚さえ覚えた。

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