天神学園の奇妙な案件
…両手両足に、拘束された痕。

全身に青痣だらけ。

何があったのかは、大方の見当はつく。

「本当に負け犬の報告をしたのね…邪魔が入って逃げられたとか、幾らでも言い方はあっただろうに…」

静かに目を開けた蛮に、声をかけたのはルナだった。

保健室のベッドに付き添っている。

「君が手当てを…?」

「馬鹿言わないで…私は授業の合間に様子を見に来ただけ…ぽぽちゃんの方がよっぽど気遣ってたわ…」

そう言って、ルナは小さく溜息をつく。

「邪魔が入って逃げられたなんて言ったら、君の友人達にまで危害が及ぶ…僕が討伐をしくじったと言うのが、一番被害が少なくて済むんだ」

蛮とて、見境なしに天神学園の者達を襲う訳ではない。

彼なりに考えての結論がこれだった。

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