優しい魔女は嘘をつく
「あたしのガラスの靴よ」
……。
しーん、と辺りが静まり返る。堂本くんは「ガラスの靴?」と首をかしげていた。
「……てか、木越。先生から借りていいのかよ、こんなの」
「あはは……どうなのかな」
……というか、私は別に氷上先生から借りようなんて思っていなかったんだよね。
あれは私が、理科室にいたときのこと。
ぼぉっとしていたせいか、ノートをとるのが遅れて、休み時間に急いで書いていたある日。
『咲良ちゃんのクラス、劇やるんだって?矢田から聞いたわよ』
『え?は、はい』
ノートをとっていたら、突然氷上先生に話しかけられた。