優しい魔女は嘘をつく
……え、どういうこと?
「だ、だってさっき……教室に」
「あれは忘れ物したから取りに行ったんだよ。その時、お前寝てたし……まぁ、ちょっとぐらい見ていいかな、って。手紙も読んだけどさ」
「う、そ……」
じゃあ、全部……私の勘違いってこと?
「魔女」は別にいて、堂本くんが来るよりも先に、手紙を置いていったってこと?
自分の勘違いに気づき、恥ずかしくなった私は、両手で顔を覆った。
「ひどい……」
さっきまであんなに悩んでいたのが馬鹿みたいだ。別の意味で消えちゃいたい。
頭も痛くないし、安堵からか涙が止まらなくなっていた。ずびっ、と私は鼻をすすって、堂本くんに言う。
「そろそろ、のいてもらってもいいですか?」