優しい魔女は嘘をつく
6、優しい魔女は嘘をつく
** 拓side
駒森が消えた。
十月最後の日の朝。
いつもより少し早い時間に教室に着いた俺は、教室に入るなりそれに気づいた。
いつも俺の席の後ろに座っている駒森の姿は、無かった。
今日は……今日こそは、話さなければいけない。会って、伝えることがある。
俺は鞄を置いて、教室を飛び出した。
「ったく、どこにいるんだよ」
内心焦りを感じながら、俺は廊下を走っていた。本来なら昨日、伝えるつもりだったんだ。
でも昨日、教室に、駒森はいなかった。