優しい魔女は嘘をつく

ドアは開いていた。





教室の中に入ると、堂本くんが言った通りだった。


確かにそこには、一つの影があった。





息が切れる。酸素が足りない。



膝に手をつき息を整える私を見て、彼女は驚いていた。まるで幽霊でも見たような顔だった。







……ううん、違うよね。




あなたは最初から、私のことが見えていたんでしょう?





「魔女」は確かにこの学校の、この教室にいた。




そしてそれは、あの日、初めて私に声をかけてくれた、彼女だった。






『おはよう。今日もいい天気だね』

< 258 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop