優しい魔女は嘘をつく
ドアは開いていた。
教室の中に入ると、堂本くんが言った通りだった。
確かにそこには、一つの影があった。
息が切れる。酸素が足りない。
膝に手をつき息を整える私を見て、彼女は驚いていた。まるで幽霊でも見たような顔だった。
……ううん、違うよね。
あなたは最初から、私のことが見えていたんでしょう?
「魔女」は確かにこの学校の、この教室にいた。
そしてそれは、あの日、初めて私に声をかけてくれた、彼女だった。
『おはよう。今日もいい天気だね』