優しい魔女は嘘をつく
「違うよ」
私が俯いて溢すと、果夏はハッとしたように目を見開いた。
目頭が熱かった。視界が歪み、鼻の奥がジインと痛む。
「死んでよかったわけがないよ」──私は歯を食い縛り、叫んだ。
「怖かった……怖くてたまらなかった。
この先どうすればいいかなんて考えたくもなかった。あの時から思ってたよ、ずっと!
なんで……なんで、事故に遭ったのが私だったんだろう、って」
でも、それを誰かのせいにはできなかった。
その誰かのせいで自分が死んだとして、でも、こんな体になって、誰もいない世界をさまよっている私に、一体何ができるんだろう。
誰かのせいにしたって、仕方がなかったんだ。