優しい魔女は嘘をつく
それぐらい楽しかった。
もし、全部知っていたとして、私が四十九日で全ての後悔を無くせただろうか。
だから、きっと、気づかなくてよかったんだ。教えてくれなかったから、今がある。
「全部、果夏のおかげだよ」
死んでもよかったとは思わない。でも、もう後悔することなんてないって、胸を張って言える。
笑ったその瞬間。
何かが弾けるような音がして視線を落とす。そしてその時、私は気づいた。
小さな光の塵が、ふわふわと天井に向かって上っていく。
鼻の先に触れた温かい光は、崩れた私の足から、次々に溢れていた。
「初美……あたし、咲良に謝るから」
唐突に果夏から話された言葉に、私はハッとして目を見開く。