優しい魔女は嘘をつく
「果夏」
「だから……もう、この世界に留まっていなくていいよ」
「うん……」
「間違っても、絶対に戻ってきちゃ駄目だよ?そんなことしたら、あたしまた初美に会いたくなっちゃうから……」
「分かってる」──頷いて小さく溢した声が、光に吸い込まれていくように消えた。
だんだん果夏の声が聞こえにくくなってきて、視界がぼやけてくる。
目を閉じれば、どこか遠くで、下校の時間を知らせるチャイムが鳴り響いていた。
──ある日、
私は魔法をかけられた。
彼女は手紙をくれるけれど、
いつも私に姿を見せない。