優しい魔女は嘘をつく
「忘れないよ、今までのこと、全部」
ふわふわと上っていく光に、意識が移っていく。
なんだかボーッとしてきて、頭の中がクリアになっていく中、一つだけ、ずっと心の奥にしまっていた言葉がある。
私は、
果夏も咲良も好きだった。
そして、三人でいる時間が大好きだった。
「ありがとう」
最高の時間をありがとう。
優しい嘘をありがとう。
私の体は消えてなくなる。
糸のように細くなった視界の中で、果夏は私に笑いかけていた。
もう、大丈夫だ、と思った。