優しい魔女は嘘をつく
『堂本、ちょっといい?』
きっかけは、槙本のこの一言。
九月十九日。駒森が事故に遭った日から、一週間が経っていた。
そして、これは運命といえばいいんだろうか。
俺と槙本、木越はその時、普通なら見ることができないはずのない彼女が───駒森 初美が見えていた。
放課後、俺は槙本に廊下で引き留められ、事故のことについて聞かされた。
そして、駒森が自分の死に気づいていないことも、そこで知った。
俺に話している時の槙本の表情は真剣で、「協力してほしい」と頼んで頭を下げるほど、本人は必死だった。
でも、どうしても納得がいかなかった。