優しい魔女は嘘をつく
──
左の方から、冷たい空気を感じる。
視界が白くなってきて、ホワイトノイズのような音が、だんだん鮮明になってきた。
前からは、ガチャガチャと何かを漁るような音がしてきた。
あぁ、お母さん……まだ起こさないで。ぎゅっと腕に顔を押し付ける。
しばらくすると音は止み、次に前から聞こえてくるのは、静かに息をする音。
……ん?ここはどこだ?
私はすぐさまバッと顔を上げた。ぼやけた視界に、彼の顔が映る。
歪んだ表情にも関わらず、その整った顔立ちに見とれてボーッとしていた私。