優しい魔女は嘘をつく

あぁ、堂本くんか。




…………え!?堂本くん!?




そこでようやく意識がはっきりしてきて、目の前にいたのが堂本くんだとやっと気づいた。



「っわぁ!」と悲鳴をあげる私を見て、堂本くんは不機嫌そうな顔になる。





「ど、堂本くん、いたんだ……」



「……何?俺がいちゃいけないわけ?」



「そういうわけじゃなくて……」





私が言葉を濁すと、沈黙が流れた。



でも、堂本くんは目をそらさずに、じっと私の方を見ている。



……なんだろう。私、何か変なのかな?





「えっと……なんでこっち見てるの?」




私がそう早口で聞くと、堂本くんは「……や、別に」とそっぽを向いた。
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