優しい魔女は嘘をつく
「明日無事にケーキ買いに行けたら、教えてあげるね」
「明日?」
「え?だって、今から行ってももう遅いと思うけど」
時計を見たら、時刻は四時半をまわっている。
たぶん四時でギリギリなんだよね、と言うと、ガックリしたように堂本くんが大きくため息を吐いた。
「そっか……じゃあ俺、もう帰るわ」
桃色に似たような色に染まった空を見ながら、堂本くんが鞄を肩にかけた。
「ついでに鍵返してきてね~」
「はぁ?なんで俺が……」
「だって私返せないもん」
めんどくさそうに「あっそ」と返しながらも、堂本くんはドアの隣にかけてあった鍵を手に取った。