優しい魔女は嘘をつく
そこでふと、堂本くんが振り返る。
「お前は?帰らねぇの?」
「前から思ってたんだけど……その呼び方、そろそろ直してください」
ほら、私にもちゃんと名前があるんだから。
私が堂本くんの質問を無視すると、堂本くんは顔をひきつらせて言った。
「ったく、めんどくせぇなぁ。えっと、名前なんだっけ……」
「駒森です!ちゃんと覚えといてよ!」
「そんな名前だっけ?」
失礼な!私はムッとして顔をひきつらせた。
それを見て、「あー、はいはい」と堂本くんが頷きながら、パチパチと電気を消していく。
「……駒森な。で、結局帰んねぇの?」