優しい魔女は嘘をつく
「ねー、聞いてる?」
「……」
「おーい、聞こえますかー?」
「……」
「もう、堂本くんってば!」
私がしつこく話しかけると、堂本くんは頭にきたのか、チッ、と舌打ちをした。
それでも怯まず話しかけていたら、後ろから中本さんの声が聞こえてきた。
「それでは、残りは堂本くんと木越さん、河合(かわい)くんと私、ですね」
河合くんは、クラスでもあまり目立たない男の子だ。
彼は前髪が長く、目が隠れているせいか、暗いイメージがある。
中本さんは黒髪のおさげが特徴的な女の子で、いかにも『委員長』って感じがする。
そこで黒板を見て、私は「げ」と声を上げてしまった。