優しい魔女は嘘をつく
こういう時、私だったら反論するけれど、咲良は頼まれたら断れない性格だから、もうどうすることもできないだろう。
そして私が思った通り、咲良は頷いて「や、やります」と答えてしまった。
短い拍手の嵐の後、中本さんが黒板に咲良の名前を書いていった。
そして、中本さんが強制的に「ナレーター」に決まった。
残ったのは……。
中本さんが自分の名前を黒板に書き込むと、さっそく手を上げた二人。
「僕、音楽やります」
「俺も音楽」
堂本くんと、河合くんだった。
それもそうだ、と思う。このままの流れだと、どちらかが強制的に″王子″役になるのだ。