屋上で
屋上で
とある共学の高校で、ここの生徒の彼女は階段を1歩、1歩上る。

今日、彼女は屋上で自分の生涯を自ら終えようとしていた。

(ここから飛び降りれば私は天国にいける。
 君を忘れることができる)

とある人に想いをはせていた。

靴を脱ぎ、フェンスを越える。

ゆっくりと深呼吸。

「先立つ娘をお許し下さい」

父、母に向けての最後の言葉。

「あれ?奥井 クミ(おくい くみ)じゃない?」

屋上にやってきたカップルがいた。

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