【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
(私が悪いのかな……でも今日はいつもより早いから夕食でも一緒に食べようかな……)

そんな事を思いながら麻耶は家のドアに手を掛けた。

(あれ?鍵かかってる。珍しいなまだ帰ってない?)

麻耶は特に疑問に思うことなくカバンから鍵を取り出すとドアを開けた。
そして、一瞬にして背筋が冷たくなり、しばらく玄関に立ちすくみ並べられた黒のパンプスを見つめた。
くるっと踵を返し外に出ようと思ったが、このままの状況はきっとお互いの為ではないだろうと思い直し、大きく息を吐くと家の中へと足を踏み入れた。

リビングの机の上には食べ終わったのだろうテイクアウトの料理と赤ワインが並んでいた。しかし人影はなく麻耶は基樹の部屋の前に立ち止まった。

(いや……さすがに彼氏と浮気相手?の真最中を見るのはな……。)

変に冷静な自分に驚いたが、こうなることは自分でもわかっていたような気がしてゆっくりと中の人たちに声を掛けた。

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