【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス

(KENTAの案内がなかったけどどうしたんだろ?)


大聖堂内に全員を移動し終えて、麻耶も後ろに控えて挙式が始まるのを待っていた。

そして司会から流れたアナウンスに麻耶は驚いて、思わず入り口を見た。
「本日、モデルKENTA急病の為、代理と致しまして、弊社代表取締役宮田芳也が代わりを務めさせていただきます」

(社長が新郎役!なんで?どうして……)

訳の分からない麻耶の耳に今度はインカムが飛ぶ。

「模擬挙式後、予定を変更してここで急遽社長の挨拶が入ります」

その言葉通り、新郎入場の合図とともに、真っ黒のタキシードに身を包んだ芳也が現れた。
開場からは、その姿に感嘆の声とため息が漏れた。

いつも見ている麻耶ですら、見入るぐらい芳也は素敵だった。
セットされた髪から除く漆黒の瞳は仕事モードなのだろう、にこやかに笑みを湛え、祭壇の上まで来ると、花嫁を迎えるためにドアの方角を見た。

そして、アイリが入場してくると、更に声が上がった。
祭壇の上に並んだ二人に一斉にカメラのシャッターがきられる。
日の光をいっぱいに浴びた芳也とアイリは本物夫婦のように寄り添い、見つめ合う姿に麻耶は呆然と二人を見ていた。

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