【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
アイリの言っていることは漠然とし過ぎていて、麻耶には何がなんだか分からなかった。
しかし、芳也が本当にMIYATAグループの御曹司で、アイリとの政略結婚が望まれたとしたら、芳也は誰も愛さないのならそうするのかもしれない。
ギュッと手を握って麻耶は口を閉ざした。

私の一方的な気持ちのまま、芳也と一緒にいていいのだろうか?
でも……。
麻耶はいろいろな気持ちが交錯して考えがまとまらなかった。

「とりあえずお話はわかりました。少し考えさせてください」
麻耶は軽く息を吐くと、アイリを見た。
その言葉に、アイリは意外にも頷いた。

「きちんと気持ちを整理していなくなってね」
それは嫌みなのか、本心なのか麻耶には解らなかった。
しかし、本当にアイリは芳也の事が好きだという事は麻耶にも痛いほどわかった。

「最後に……芳也さんに何があったんですか?」
麻耶はアイリを見た。
「私から聞きたい?芳也が話さない事を。聞いてもいいの?」
もっともなアイリの言葉に麻耶は首を振ると立ち上がった。

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