【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
早坂アイリは主要銀行の頭取の娘で、芳也の幼馴染でもある。
小さい頃からずっと芳也に好意を持っていることは知っていたが、芳也にとっては妹の様な存在で、それ以上の感情を持つことはどうしてもできなかった。
そして、アイリはお嬢様気質で自分の思った事はどんなことをしても、実行する少し強引な面もあった。
仕事で関わることは芳也にとって面倒で本意ではなかった。
その為、芳也は絶対に起用する気はなかったが、上がってきた企画書をみると堂々とアイリの名前があり、やっぱりかとため息をついた。
もちろん、人気も実力も問題はないので、企画したスタッフにどうこう言えるものではないのは解っていたが、これからまたかかわると思うと憂鬱だった。
個人的な理由で肩書を使う事も嫌だった。
(この数年は実家も、幼馴染もなるべく避けていたのに……面倒な事になりそうだな……ん?なんだ??)
芳也は駐車場に向かう道すがら、正門の前に黒い影を確認するとそっと近くに寄った。
(酔っ払いか?こんなところに……こんな寒い中死ぬぞ……警察……)
そこまで考えてちらっとその黒い影を見て唖然とした。
(水崎?!)
慌てて外にまわり、その倒れ込んだ人の顔を確認すると、やはり今日挨拶をされた麻耶だった。
頬が赤く染まり目を閉じ正門にもたれ掛かっている麻耶を見て芳也は言葉を失った。
(女がこんなところで何してるんだよ……)
少しの苛立ちとともに、麻耶の頬を軽く叩くと、「うーん」と鬱陶しそうに手を払われ芳也は啞然とし麻耶を見下ろした。
始に電話をしようと携帯を手にして、芳也は麻耶の荷物に目を落とした。
(大きなスーツケースに、こんな場所で酔っぱらって寝ている女……)
携帯をポケットにしまい、コートを脱いで麻耶に着せると抱き上げて車に乗せた。
(協力してもらうよ。家出娘さん)
ニヤリと芳也は笑うと麻耶のトランクケースを車に乗せ、黒のドイツ車をゆっくりと発進させた。
小さい頃からずっと芳也に好意を持っていることは知っていたが、芳也にとっては妹の様な存在で、それ以上の感情を持つことはどうしてもできなかった。
そして、アイリはお嬢様気質で自分の思った事はどんなことをしても、実行する少し強引な面もあった。
仕事で関わることは芳也にとって面倒で本意ではなかった。
その為、芳也は絶対に起用する気はなかったが、上がってきた企画書をみると堂々とアイリの名前があり、やっぱりかとため息をついた。
もちろん、人気も実力も問題はないので、企画したスタッフにどうこう言えるものではないのは解っていたが、これからまたかかわると思うと憂鬱だった。
個人的な理由で肩書を使う事も嫌だった。
(この数年は実家も、幼馴染もなるべく避けていたのに……面倒な事になりそうだな……ん?なんだ??)
芳也は駐車場に向かう道すがら、正門の前に黒い影を確認するとそっと近くに寄った。
(酔っ払いか?こんなところに……こんな寒い中死ぬぞ……警察……)
そこまで考えてちらっとその黒い影を見て唖然とした。
(水崎?!)
慌てて外にまわり、その倒れ込んだ人の顔を確認すると、やはり今日挨拶をされた麻耶だった。
頬が赤く染まり目を閉じ正門にもたれ掛かっている麻耶を見て芳也は言葉を失った。
(女がこんなところで何してるんだよ……)
少しの苛立ちとともに、麻耶の頬を軽く叩くと、「うーん」と鬱陶しそうに手を払われ芳也は啞然とし麻耶を見下ろした。
始に電話をしようと携帯を手にして、芳也は麻耶の荷物に目を落とした。
(大きなスーツケースに、こんな場所で酔っぱらって寝ている女……)
携帯をポケットにしまい、コートを脱いで麻耶に着せると抱き上げて車に乗せた。
(協力してもらうよ。家出娘さん)
ニヤリと芳也は笑うと麻耶のトランクケースを車に乗せ、黒のドイツ車をゆっくりと発進させた。