【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
同じころ、芳也は実家に呼ばれていた。
世界のMIYATAグループ社長の父。
10年前に勘当同然でアメリカに行って以来、会話もしていなかったし、芳也にとって帰りたくない場所だった。
でも拒否することもできない場所。
木々が生い茂り、門から家までを車で進む。
ガレージに車を停めるのははばかられ、来客用の駐車場に車を停めると玄関へと向かった。
懐かしいような、複雑な気持ちで歩き、大きな扉を見上げた後インターホンを押した。
「芳也おぼっちゃま。お帰りなさいませ」
玄関から現れたその人を見て、芳也は頭を下げると言葉を続けた。
「斎藤さん、父は?」
「ご案内します」
広々とした吹き抜けの玄関を抜け、正面に見える階段を芳也は見つめた。
家政婦をしている斎藤は、顔の表情を変えず書斎へと案内をしてくれた。
(相変わらず、俺の居場所はないな……この家には)
小さい頃から父と遊んだ記憶もなければ、褒められた記憶もない。
厳格で自分にも他人にも容赦のない人だった。
大企業のトップになるためには、こんなにもいろいろな物を犠牲にしないといけないのか。
母を顧みない父を見ていつも思っていた。
そして常に言われるのは、「宮田の名を汚すな」「宮田にふさわしい人間になれ」それだけだった。
父の書斎が近づくにつれて、頭痛がする気がした。
世界のMIYATAグループ社長の父。
10年前に勘当同然でアメリカに行って以来、会話もしていなかったし、芳也にとって帰りたくない場所だった。
でも拒否することもできない場所。
木々が生い茂り、門から家までを車で進む。
ガレージに車を停めるのははばかられ、来客用の駐車場に車を停めると玄関へと向かった。
懐かしいような、複雑な気持ちで歩き、大きな扉を見上げた後インターホンを押した。
「芳也おぼっちゃま。お帰りなさいませ」
玄関から現れたその人を見て、芳也は頭を下げると言葉を続けた。
「斎藤さん、父は?」
「ご案内します」
広々とした吹き抜けの玄関を抜け、正面に見える階段を芳也は見つめた。
家政婦をしている斎藤は、顔の表情を変えず書斎へと案内をしてくれた。
(相変わらず、俺の居場所はないな……この家には)
小さい頃から父と遊んだ記憶もなければ、褒められた記憶もない。
厳格で自分にも他人にも容赦のない人だった。
大企業のトップになるためには、こんなにもいろいろな物を犠牲にしないといけないのか。
母を顧みない父を見ていつも思っていた。
そして常に言われるのは、「宮田の名を汚すな」「宮田にふさわしい人間になれ」それだけだった。
父の書斎が近づくにつれて、頭痛がする気がした。