【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
「ご無沙汰しています。お仕事中にこんなところまで押しかけて本当に申し訳ありません」
頭を下げた始に、
「そんな事はいいから!君がこんな所までわざわざ来るなんてよっぽどの事だろう?」
その言葉に始は少し目を落として、言葉を考えた。
「お仕事中だと思います。一度僕に時間を頂けないですか?」
「ああ、もちろん。今日の夜……」
慌てて追いかけてきたのだろう、後ろに控えていた彼女の秘書らしき女性をチラリと見た。
「今日の夜は、大平商事との会食が入っております」
申し訳なさそうに言った彼女はじっと考えるような仕草をした。
「今からでしたら、30分ほどお時間を調整できます。上でお話を聞かれてはいかがですか?」
「ああ、そうしよう。始君こっちへ」
「ありがとうございます」
エレベータは早く、静かに高層階へ上がっていき、ポンと無機質な音が響いて静かにその扉は開いた。
まるでホテルのロビーの様なそのフロアに当たり前に進む健斗を見て、本来芳也もこの空間にいるべき人間なのではないのか……そんな事を思いながら始は健斗の後姿を見ていた。
始は副社長室に案内されると、健斗はゆっくりとソファに座った。
「コーヒーでいい?」
「はい」
今の芳也の事を話す始の言葉を、健斗は黙って聞いていた。
「本当にこの10年、アイツは変わりました。心から笑わなくなった。いつもどこかで苦しんでいるようで。今の仕事を選んだのも自分への罪だと言って……でも、本当に本当に愛する人を初めて見つけたんです。だから。お願いします。どうかアイツを許してやってください」
始はガバッと頭を下げた。
ゆっくりと立ち上るコーヒーの湯気を見ながら、低い声で健斗は言葉を発した。
「あいつはまだその事にとらわれてるのか?」
「え?」
怒りを含んだその言葉に始は、顔を上げた。
頭を下げた始に、
「そんな事はいいから!君がこんな所までわざわざ来るなんてよっぽどの事だろう?」
その言葉に始は少し目を落として、言葉を考えた。
「お仕事中だと思います。一度僕に時間を頂けないですか?」
「ああ、もちろん。今日の夜……」
慌てて追いかけてきたのだろう、後ろに控えていた彼女の秘書らしき女性をチラリと見た。
「今日の夜は、大平商事との会食が入っております」
申し訳なさそうに言った彼女はじっと考えるような仕草をした。
「今からでしたら、30分ほどお時間を調整できます。上でお話を聞かれてはいかがですか?」
「ああ、そうしよう。始君こっちへ」
「ありがとうございます」
エレベータは早く、静かに高層階へ上がっていき、ポンと無機質な音が響いて静かにその扉は開いた。
まるでホテルのロビーの様なそのフロアに当たり前に進む健斗を見て、本来芳也もこの空間にいるべき人間なのではないのか……そんな事を思いながら始は健斗の後姿を見ていた。
始は副社長室に案内されると、健斗はゆっくりとソファに座った。
「コーヒーでいい?」
「はい」
今の芳也の事を話す始の言葉を、健斗は黙って聞いていた。
「本当にこの10年、アイツは変わりました。心から笑わなくなった。いつもどこかで苦しんでいるようで。今の仕事を選んだのも自分への罪だと言って……でも、本当に本当に愛する人を初めて見つけたんです。だから。お願いします。どうかアイツを許してやってください」
始はガバッと頭を下げた。
ゆっくりと立ち上るコーヒーの湯気を見ながら、低い声で健斗は言葉を発した。
「あいつはまだその事にとらわれてるのか?」
「え?」
怒りを含んだその言葉に始は、顔を上げた。