【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
(嬉しすぎるよ……)

夕日に照らされて運転する芳也を麻耶はぼんやりと見つめた。


「麻耶、始に話を聞いたんだよな。俺の事」
急に、真面目な顔で聞いた芳也の言葉に、麻耶も表情を戻すと頷いた。

「勝手に聞いてごめんなさい」
静かに呟くように言った麻耶に、芳也は首を振った。
「いや……いいんだ。嫌われなかったか心配になっただけ」
そう言って少し悲しそうに笑った芳也に、麻耶は芳也の開いていた左手にそっと手を重ねて静かに尋ねた。

「お兄さんとは話はできたんですか?」
「ああ。お前がいなくなってかなり荒れてて……」
苦笑しながら芳也は言うと、チラッと麻耶を見た。

「そんな俺を見かねて始は兄貴の会社まで行ってくれた」
「館長が?」
「そう。俺を許してやってくれって頭を下げてくれて」
驚いた麻耶に、芳也は嬉しそうに言葉を続けた。
「そこで、兄貴がもうまったく怒ってない事、むしろ俺がその事にとらわれていたことに怒っていて殴られた」

「え?殴られたんですか?」
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