【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
「アイリさんに会ったんです」
「え?どこで?いつ?」
驚いた顔をして、芳也は麻耶を見た。
「まだ、芳也さんと一緒に暮らしてる頃、会社にアイリさんのお使いと言う人がきて、アイリさんの事務所で」
「なんで言わなかった?」
「言おうと思ってたんです。でも、そのあとあんなことになってタイミングが……」
その言葉に、芳也も表情を曇らせると、麻耶をギュッと抱きしめた。
「ごめん」
「もういいんです。ただその時のアイリさんが真剣だったので……」
「じゃあ、麻耶は俺がアイリを選べばよかった?」
その言葉に麻耶は、ハッとして顔を上げると、
「そんな事は絶対ないです。その時にはっきりと芳也さんの事は譲れないって言ったし……」
「じゃあ、もう気にするな」
「……はい」
麻耶もギュッと芳也を抱きしめると、芳也の胸に頬をつけた。

少しの間抱き合った後、
「荷物俺も一緒に取りに行くよ」
そう言って二人は車を降りて麻耶の部屋へと向かった。

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