【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
「ここですか?」
エントランスに車を停めると、すぐにベルマンが芳也に近づきドアを開けた。
「ああ、ランチしよう」
開けられたドアから芳也は降りると、慣れた様子で鍵を渡し、助手席に回るとドアを開けて麻耶を促した。

そっと降りて見上げると、広大なエントランスに白亜のホテルが目に入った。

「すごい……」
エントランスを抜けると、目の前には真っ青な海が広がり、その向こうにはブルーのパラソルが並べられたテラスが広がっていた。

「宮田様、ご無沙汰しております。いらっしゃいませ」
にこやかな笑顔が印象的な40代後半ぐらいの男性が、二人に近づくとゆっくりと頭を下げた。
「お世話になります。急な予約で申し訳ありません」
申し訳なさそうに言った芳也に、その男性は「そんなことはありません」そう言いながら麻耶を見ると、
「支配人をしております、笠井と申します。本日はようこそ当ホテルに入らっしゃいました」
その言葉に、麻耶も慌てて「よろしくお願いします」と頭を下げた。

「宮田様、昼食ですが、テラスは暑いと思いますのでレストランの海の見えるお席でよろしいですか?」
「大丈夫です」
「かしこまりました。では先にお部屋にご案内いたします」

(部屋??)
麻耶は訳もわからず、とりあえず二人の後ろをついて歩きだした。

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