【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
「泊まらないのに使ってもいいんですか?」
バスルームにたくさん並べられたアメニティを手に取りながら、麻耶はひょこっとバスルームから顔を出した。

「いいよ。使っても。それに使う事するかもしれないしな」
ニヤリと笑った芳也の言葉の意味を理解し、麻耶は顔が熱くなるのを感じて、慌てアメニティーをもとの場所に戻した。

「もう少ししたらランチに行こう。魚介が美味しいよ」
先ほどの支配人の対応と言い、芳也の慣れた様子から何度かここに来たことがあることに気づいた。

(誰と来たんだろ……。女の人と来たのかな……)

ぼんやりとバスルームの外から見える海を見て、そんな事を麻耶は思っていると、不意に背中が温かくなり振り返った。

「変な事考えてる」
見透かしたように言った芳也に、慌てて麻耶は首を振ると芳也から目を逸らした。
「本当に、麻耶はプライベートだと顔に出るよな……おいで」
そう言って肩を抱いて、リビングに戻ると、芳也は自分の膝の上に麻耶を乗せると、ジッと見つめた。

「芳也……さん?」
急に密着して、熱のこもった瞳で見つめられて、麻耶の心拍数は急激に上がった。
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