【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
「ここに家族以外に連れてきたのは麻耶が初めてだよ」
そう言って、麻耶の髪をゆっくりと耳にかけると、首筋にキスを落とした。

「葉山は小さい頃から夏になると家族で来た、数少ない思い出の場所」
ゆっくりと、後頭部を撫でながら言った芳也の言葉に、麻耶はホッとして笑顔を向けた。
「そうだったんですね……」
「だから、支配人とも懇意にしてる」

(本当に、御曹司なんだな……芳也さんて)
改めてその事を実感して、少し寂しさの様な感覚に襲われて麻耶はキュッと芳也に抱きついた。
「麻耶……こっち見て」
首筋から顔を離した芳也に声を掛けられ、麻耶も芳也を見つめた。
どちらからともなく、唇を合わせると優しいキスを繰り返した。

「よかった。部屋を取って」
すぐに触れそうな距離で芳也は言うと、また麻耶の唇を塞いだ。
「食事だけだったら、ゆっくり麻耶とイチャイチャできなかったもんな」
クスクス笑った芳也に、「イチャイチャって……」苦笑しながらも麻耶は笑顔を向けた。


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