【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
年末年始と近場に旅行に行ったり、芳也の家に新年の挨拶に行ったりとあっという間に年が明け、いつも通りの日常に麻耶は戻っていた。

そしていつも通り少しの時間を見て、芳也と麻耶はソファでゆっくりとしていた。
「ねえ、こういうの綺麗だし楽しそうじゃないですか?」
麻耶はノートに書いた絵を芳也に見せた。
麻耶の膝の上に頭を乗せていた芳也はそのノートを受け取ると、目を落とすとじっとその絵を見ていた。

「なあ、これって風船を上と下からってこと?」
真剣な目で芳也は麻耶を見た。
「そうです。風船って上に飛ぶでしょ?それを上から下に落としたらどうかなって。プレゼントとか手紙をつけて。そして同時に下からも風船を放すんです。唯奈ちゃんに提案してみようかなと思って」
何か考え込む芳也に、「ちょっと思っただけです」そう言うとノートを奪い取り麻耶は恥ずかしそうにノートで顔を隠した。

「いや、いいと思うよ。両方から一度テストでやってみようか?」
「え?本当ですか?ただの思い付きだったけど、芳也さんにそう言ってもらうと嬉しいかも」
ニコニコ笑っていた麻耶だったが、不意に芳也をジッと見た。

「ねえ、芳也さん」
「ん?」
ぼんやりと麻耶の膝の上でテレビを見ていた芳也は、麻耶を見上げた。
「最近、何か悩みありますか?」
「……ないよ」
「本当に?」
「なんで?」
「なんでって……」
最近麻耶は、二人でゆっくりしているときに、芳也は何かを考え込むような仕草をする事やよくなる電話が気になっていた。

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