【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
そこで神父から言われる、誓約の言葉はなぜか隣にいる人が言葉を発した。

「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓います」

あの時とは全く重みの違う誓約の言葉に麻耶はポカンとして見つめた。

「一年前の模擬挙式、アイリじゃなく麻耶としたかった。俺のこの会社での最後の仕事は麻耶にプロポーズをする事」


(芳也さん……)


麻耶の耳元で囁くと、芳也は大きく息を吐いて真剣な瞳で麻耶を見つめた。

「麻耶、次は本当の結婚式を俺としてください」
列席者に聞こえないぐらいの声だったが、はっきりと言われたその言葉に、麻耶は呆然と芳也を見つめた。

そして芳也は姿勢を直すと、
「宮田芳也は、水澤麻耶を愛することを誓います」
芳也のその言葉に麻耶の瞳から涙が溢れた。

打ち合わせをしていたのだろう、神父はニコリと麻耶の方を見ると、言葉を続けた。

「汝、水崎麻耶は健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」

麻耶はぎゅっと涙を拭くと、満面の笑顔を向けた。

「はい、誓います」

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