【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
(昨日のリベンジしよ!うん。ご飯食べて、お酒飲んで。今回は保護されることないしね。ムカつく社長の顔を見ないうちに早く自分の部屋に閉じこもらなきゃ)

そう思いスーパーに寄り、すぐ食べられる缶詰やおつまみ、缶チューハイなど目につくものを買うと芳也のマンションへと帰った。
もちろん、芳也は帰っておらず麻耶は「おじゃまします……」と小声で言うと、自分の部屋へと閉じこもった。

(さすがに先にシャワー借りるのも悪いしな……)

ゆったりとした、黒のパーカーとハーフパンツに着替えると、窓の横に備え付けられている、テーブルにスーパーの袋を置き、一人掛けのソファーに身を沈めた。
(高級そうなソファーだな)

夜景に目をやり、チューハイを一口飲むと、胃がカーッと熱くなって涙も一緒に零れた。
(あーあ、夜景が綺麗だな)
そんな涙を自分自身でごまかすように、さきイカも口に入れた。
昨日のおしゃれなパスタじゃないけど、今の私はこれで十分だ。そんな事を麻耶は思っていると物音がしてドキッとした。

(帰ってきた?)
お出迎え?いやいや。私からは関わるなって言われたし…そんな事を考えているうちに、廊下を歩く音がして芳也が帰宅したことが麻耶にもはっきりと分かった。

扉の近くで聞き耳を立てていると、すぐにシャワーの音が聞こえてきた。
麻耶は特に何も言われない事に安堵して、またチビチビとチューハイ片手に夜景を眺めていた。

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