【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
(あんまり優しくしないでよ……。悪魔な社長の方が割り切れたのに……)

本当の芳也に気づいてしまって以来、麻耶の心は警告を鳴らしていた。

(好きになってはいけない人……私には手が届かない人……忘れちゃだめ)

ギュッと枕を握りしめて、自分自身に麻耶は言い聞かせた。
(シャワー浴びてすっきりしたいな)

麻耶は準備をすると、バスルームへ向かい、ガチャリと扉を開けて目を見開いた。
ドサッと下着などが下に落ちたのも気にせず、勢いよく扉を閉めた。

「社長!!すみません!!」
何も纏わず、タオルで髪を拭いていた芳也の姿が目に焼き付き、ドアの外にズルズルと座り込んだ。

「見たかったのか?遠慮することないのに」
クスクスと笑い声と共に聞こえた声に、麻耶は真っ赤になると、
「そんな訳ないじゃないですか!!」
「ふーん」
その声とともに、開かれたドアから出てきた芳也は上半身裸で、座り込んでいた麻耶を見下ろしていた。

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