With*You



「ほら、もう早く教室行き……」


「あのっ、林部さん……」


「な、長崎くん……?
どしたの?」


「実はその……林部さんに言いたいことがあって……」


「んじゃ、オレは退散するとしますかー」




屋上にひょこっと顔を出したのは長崎くん。


今はクラスは別々だけど1年生の時に同じクラスになったから顔は覚えていた。


太雅も太雅で余計な気を遣って屋上から出て行くし……。

これ……もしかしてもしかして告白……?




「……何?」


「実は……林部さんのこと好きです」




……うわぁー。

ドンピシャ……。




「……あー……。
ごめん、あたし今……恋愛する気も無く……」


「それならあの……!
友達……からでも!」


「……うーん……」


「駄目、かな……?」




非常に断りづらい表情をされてはこちらも強く出られない。


そのまま結局、連絡先を交換する流れになってしまい……。


気付けば増えていたアドレス。


長崎くんも嬉しそうな顔をして屋上を去って行ってしまったし……。




「……はぁ。
嘘でしょ……?」




さらば、私の今までの代わり映えのない単調な日々……。


これからのことを思い、灰色模様の心とは対照的な冬の青い澄んだ空が目に沁みるのであった……


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