With*You
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「久しぶりだなー、那菜っ」
「すみません、どちら様ですか」
「何言ってんだよー。
こんなイケメンの顔を誰が忘れると?」
「あー、何か今すぐこの人の上に隕石とか落下してこないかなぁ」
「はは。
相変わらずそうで何より」
あれから3日、太雅は屋上に現れることは無く。
長崎くんとの杞憂は増えてしまったが太雅が来なくなったら、それはそれで良かったと思っていたのに。
思い出したかのように、あっけらかんと太雅はやって来た。
「で、どーなのさ?
あの例の元クラスメートとは」
「別に?」
「連絡とかしてんだろ?」
「……んんー……。
まぁ……」
太雅の質問に私は歯切れ悪く答える。
「そー。
なに、照れちゃってるー?」
「べっ、別に……そんなんじゃないし!」
確かに連絡は取り合っている。
真面目そうで良い人な印象だ。
でも……
いつだって過去のことばかりを引きずっている私はまだ……ちゃんと前を向けていないままで……。
でも今がもしかしたら前を向いて歩き始める時なのかも知れない。
私は少しずつだけれど長崎くんの存在を受け入れ始めていたことも僅ながらに確かだ。
「なんなら恋愛マスターの太雅サマがレクチャーしてやってもいいけど?」
「結構です」
太雅と境界線を作るように片手でバリア。
「デートとかは?」
「……太雅には関係ないでしょー」
「関係ありますぅー」