明日殺されます
滋賀県のタクシーのほとんどが5月から禁煙になったばかりだった。

「今月から何処のタクシーもタバコも吸えなくなってしまって、すみませんね。」

慌ててタバコ消し、窓を開け、手で煙を外に出そうとした。

「大丈夫ですよ、少しの間だから我慢しますよ。」

「すみませんね。私もタバコ吸う方なので、お客さんの気持ちが凄くわかります。
今でも私も禁煙には、反対なんですよね。」
後ろから見ると暗くて顔が、わからないけど声を聞くと、まだ30代半ばの女性だった。


「お客さんは、東京からですか?」

「はい」

「東京は、前に住んでいましたけど、離婚して滋賀に来たんですよ。」

「そうなんですか?」

「何か全てを忘れたくて・・・・・・」

「そうですか?それより9時半の新幹線に乗りたいのですみませんが、飛ばして
ください」

「変な話をしてすみませんね。わかりました。それより何か仕事の急ぎなんですか?」

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