主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-③
百鬼夜行から速足で戻って来た下弦は、遠野から少女が起きていることを知らされると、作らせておいた粥を持って部屋を訪れた。
身体を起こしていた少女がゆっくり下弦の方を見ると、下弦は熱々の粥を傍に座って少女に見せた。
「ええと…言葉は通じるんだよね?これ、お粥さん。少し食べた方が回復が早くなると思うから」
「…」
「毒なんか入れてないよ。試しに僕が少し食べるから」
匙で粥を少し掬って口に入れた下弦は、じいっと凝視してくる少女に笑いかけて、小皿に乗せた梅干を見せた。
「これを入れるともっと美味しくなるよ。ちょっと酸っぱいけど、でもすごく美味しくなるから」
ふうふうと息を吹きかけて少女の口元に持っていくと、恐る恐るながらも少し梅干を絡めた粥を口にして、一気にぱあっと顔が輝いた。
「良かった、気に入ったみたいだね。自分で食べれる?」
ふるふると首を振って掌も熱傷で水膨れになっているのを見せられた下弦は、息を吹きかけて冷ましては食べさせてやりながら、問うた。
「君は話せるの?」
首を振った。
「字は書ける?」
また首を振った。
「僕の言葉は分かるんだね?じゃあ君の身体が良くなったら色々質問をするから、首を振ったりするだけでいいから教えてくれるかな」
今度は首を縦に振った。
――改めて少女の吸い込まれそうな碧の目をじっと見ていると心が休まって、ふわりと笑った。
身体を起こしていた少女がゆっくり下弦の方を見ると、下弦は熱々の粥を傍に座って少女に見せた。
「ええと…言葉は通じるんだよね?これ、お粥さん。少し食べた方が回復が早くなると思うから」
「…」
「毒なんか入れてないよ。試しに僕が少し食べるから」
匙で粥を少し掬って口に入れた下弦は、じいっと凝視してくる少女に笑いかけて、小皿に乗せた梅干を見せた。
「これを入れるともっと美味しくなるよ。ちょっと酸っぱいけど、でもすごく美味しくなるから」
ふうふうと息を吹きかけて少女の口元に持っていくと、恐る恐るながらも少し梅干を絡めた粥を口にして、一気にぱあっと顔が輝いた。
「良かった、気に入ったみたいだね。自分で食べれる?」
ふるふると首を振って掌も熱傷で水膨れになっているのを見せられた下弦は、息を吹きかけて冷ましては食べさせてやりながら、問うた。
「君は話せるの?」
首を振った。
「字は書ける?」
また首を振った。
「僕の言葉は分かるんだね?じゃあ君の身体が良くなったら色々質問をするから、首を振ったりするだけでいいから教えてくれるかな」
今度は首を縦に振った。
――改めて少女の吸い込まれそうな碧の目をじっと見ていると心が休まって、ふわりと笑った。