主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-③
日本のとある場所に、幽玄橋という橋がかかっている。
そして人々は、その橋を絶対に渡らなかった。
何故ならば…
その先にあるのは、
妖が支配している町があるからだ。
――そこで暮らしている人々は、妖の主である“主さま”が治める幽玄町から一生出ることはできない。
…主さまは女しか食わない。
いや、今となっては人など絶対に食わない。
主さまの姿を見た人間は、誰も居ない。
いや、今となっては時々町を歩くこともある。
…幽玄橋の前には、金棒を持った赤鬼と赤鬼が常に立っていた。
夜は鬼火が辺りを青白く照らし出し、
あの先の幽玄町へ入る者は、人生を悲観している者たちだけ。
だが幽玄町で暮らす人々は、昼間は普通の人と何ら変わらない生活を送っている。
だが夜になると外出禁止令が出て、通りを歩くことはできない。
歩いてもいいのだが、妖に食われる覚悟で歩かなければならない。
今日も百鬼夜行が行く。
主さまが率いる妖の大集団は人々に恐怖を植え付けながら、今日も行進する。
『百鬼夜行に出会うと死んでしまうよ』
だから夜が更けると、人々は戸を固く閉ざして外には出ない。
これは、主さまの物語。
主さまが出会った息吹(いぶき)との、物語。
そして人々は、その橋を絶対に渡らなかった。
何故ならば…
その先にあるのは、
妖が支配している町があるからだ。
――そこで暮らしている人々は、妖の主である“主さま”が治める幽玄町から一生出ることはできない。
…主さまは女しか食わない。
いや、今となっては人など絶対に食わない。
主さまの姿を見た人間は、誰も居ない。
いや、今となっては時々町を歩くこともある。
…幽玄橋の前には、金棒を持った赤鬼と赤鬼が常に立っていた。
夜は鬼火が辺りを青白く照らし出し、
あの先の幽玄町へ入る者は、人生を悲観している者たちだけ。
だが幽玄町で暮らす人々は、昼間は普通の人と何ら変わらない生活を送っている。
だが夜になると外出禁止令が出て、通りを歩くことはできない。
歩いてもいいのだが、妖に食われる覚悟で歩かなければならない。
今日も百鬼夜行が行く。
主さまが率いる妖の大集団は人々に恐怖を植え付けながら、今日も行進する。
『百鬼夜行に出会うと死んでしまうよ』
だから夜が更けると、人々は戸を固く閉ざして外には出ない。
これは、主さまの物語。
主さまが出会った息吹(いぶき)との、物語。